Jan3の創業者サムソン・モウ氏は、ビットコイン支持を掲げるフランスの政治家サラ・クナフォ氏との建設的な会談を経て、ヨーロッパでの国家レベルのビットコイン導入拡大に向けた意欲を示している。
「フランス、そしておそらくヨーロッパ全体で、国家レベルのビットコイン導入の波を起こすのが楽しみだ」とモウ氏は6月22日(土)、今週のBTCプラハ会議で欧州議会議員クナフォ氏と会談した後、X(旧Twitter)に投稿した。両者はフランスにおける戦略的ビットコイン準備基金の構築や、同資産に対する「友好的な規制」の推進について協議した。
モウ氏、ビットコイン協議のためフランス訪問へ
モウ氏によれば、クナフォ氏は自身のチームをフランスに招待したという。同日、クナフォ氏もX上でモウ氏との会談について言及し、「フランスはこうした問題に正面から取り組むべきだ」と投稿した。
クナフォ氏は「モウ氏と非常に有意義な意見交換を行った」と述べたうえで、「ビットコインの国家導入に関する専門家であり、エルサルバドル大統領をはじめとする多くの人物に助言を行ってきた」と紹介した。
モウ氏は2022年3月、アダム・バック氏の企業ブロックストリームを退社し、国家レベルでのビットコイン導入を推進するためJan3を設立している。
クナフォ氏はまた、ストラテジーの会長マイケル・セイラー氏とも会談し、「先見性と野心を備えた人物」と評している。
フランスでビットコインの機運が高まる
「近く、フランスおよびヨーロッパにおいて多くのプロジェクトが立ち上がるだろう」とクナフォ氏は述べている。
今回の招待は、フランスが官民両面でビットコインへの関与を拡大している状況のなかで行われた。
6月3日、パリを拠点とする仮想通貨企業ブロックチェーン・グループは、6,020万ユーロ(6,870万ドル)で624BTCを取得したと発表した。同社はヨーロッパ初のビットコイン準備企業を自称しており、この取得により総保有量は1,471BTCとなった。
一方、3月27日には、フランスの国営銀行Bpifranceが、国内の仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトを支援するため、2,500万ユーロ(2,700万ドル)分の仮想通貨を購入すると発表している。
ヨーロッパでの仮想通貨導入の遅れに懸念の声も
ただし一部の仮想通貨企業幹部は、ヨーロッパにおける仮想通貨導入のペースが世界の他地域と比べて遅れていると懸念を表明している。
3月29日、ヨーロッパの現実資産(RWA)トークン化プラットフォーム「ブリッケン」の法務責任者エリセンダ・ファブレガ氏はコインテレグラフに対し、「ヨーロッパにおける企業の導入は依然として限定的だ」と語った。
「この慎重姿勢は、規制や制度的なシグナル、市場の成熟度といった構造的な要因に根ざしている」とファブレガ氏は述べた。
「ヨーロッパはまだ、ビットコインを準備資産として位置づける明確な立場を示していない」